2015年11月14日土曜日

瞑想に関する説法をやめよう(伝道者も、そして懐疑論者も)

 ※ この記事は、WEBメディア“Mindful”内の記事“Meditation’s Evangelists—and its Skeptics—Need to Lay Off the Preaching”を和訳したものです。ご自身の瞑想やマインドフルネス活動の参考にしてください。

瞑想に関して人に教えを説くことに大した価値はありません。同じ理由で、反瞑想に関して人に教えを説くことにも大した価値はないのです。



10月9日のニューヨークタイムズの論説ページにて、アダム・グラント氏(ウォートン大学の若き前途有望な経営学教授)は、彼に瞑想すべきだと断定的に主張する人たちに対し、憤然と抗議しています。私はこの点に関して彼に賛辞を送りたいと思います。この世に「~すべき」主義よりも迷惑なものはほとんど存在しないでしょうし、様々な問題に対し画一的な解決策を押しつけるのは狭量で狂信的なやり方です。

そして我々が以前から指摘しているように、瞑想について聖人ぶった態度で語るのは人に無視されるための最も確実な方法です。誰かから思考の取り扱い方についての話を聞かされたときに、その主張に対して懐疑的な考え方をするのは健全なことです。グラント教授は押し売りにあったときの自然な、そして知的な反応をしていると言えるでしょう。

おそらく、彼の「瞑想狂」を止めろという抗議は、ある種のシグナルなのです。それは、瞑想を支持している人間にとって、今は誰かに対して瞑想をするよう鼓舞したり、瞑想について長々と教えを説いたりする段階は終わり、瞑想の有効性に関する客観的な証拠を探す作業を地道に続けながら、瞑想を受け入れる準備のできた人たちに向けて瞑想は有益であるということをシンプルに伝える段階に来たということです。レッスン完了、話はこれで終わりです。

ただ、グラント教授は、彼の論説の中で、彼の持論を主張し始めます。彼は、瞑想によって得られるメリットは他の方法でも得ることが可能であるという持論を展開し、これに確たる自信を持っているようです。マインドフルネス、アウェアネス、優しさ、慈愛…これらは人間として存在する我々に深く根差した特質です。それらの美質は、育むことも可能です。瞑想は、これらの美質を養うにあたり、非常に有効な方法ということは様々な人に広く経験されています。もちろん他の方法もあります。そこに議論の余地はありません。

しかし、グラント教授の意見は迷走し始めます。グラント教授は、瞑想の効果がいまだ揺籃期にあり、「特定の疾患の治療や健康増進の分野におけるマインドフルネスをベースとした介入の有効性」がまだ決定的に証明されてはいないことを認める科学者たちの意見を引用しています。でもグラント教授は、その科学者たちは、身体と心についての実践がもたらす効果に関する研究に人生を捧げたまさにパイオニアであることへの言及を怠っています。彼らは、我々が願う研究者像そのままに、長い期間にわたって注意深く、慎重に、瞑想に関して探求し続けています。そしてどういうわけか、彼ら科学者は、グランド教授が引用した、有効性が証明されている非瞑想的なアプローチ、例えば考え方を変えるといった方法よりも、彼らの研究している瞑想分野における証明の基準を高く設定しているようなのです。

何よりも、グラント教授は基本的なミスをしています:何かについてまだ証明されていないということは、その何かが反証されたということを意味するわけではないのです。

長い時間をかけて心を変化させる方法の有効性は、非常に証明しにくいものです。結局のところ、私たちは心について話しているのです。心はものさしで測りにくいものです。瞑想について人に教えを説くことに大した価値はありません。同じ理由で、反瞑想について人に教えを説くことにも大した価値はないのです。

もし、グラント教授が賛同するぐらいに瞑想が有効に働く場合、瞑想を提唱し、日々増加する瞑想を始めようとする人々に精神的なサポートを提供するにあたって、何に留意すればよいでしょうか?

応援の押し売りにはうんざりするものです。人が何かに足を踏み入れ、トライしようとするとき、最も説得力のある証拠は誰かの個人的な経験からもたらされます。そして、何かをやってみようと思うきっかけは、単純に人の「いいらしいよ」というちょっとした提案だったりするものです。

心と身体の健康において瞑想が重要な要素であると提唱する人々にとっては、新しいフィールドが開くまでは、科学の歩みが数十年にわたるゆっくりしたものであることを理解しながら、瞑想の有効性に関する進行中の多くの研究が示す証拠を引用することがますます重要になっていくでしょう。

でも、人々は賢明です。彼らは自分で結論にたどり着けるでしょう。
<おわり>

0 件のコメント:

コメントを投稿