2015年12月11日金曜日

心の平静さ(前半)

この記事はEquanimity (adapted from a talk by Gil Fronsdal,May 29th 2004)の前半を訳したものです。ご自身の瞑想やマインドフルネス活動の参考にしてください。



平静さは仏教の実践の中で最も素晴らしい感情の一つです。平静さは知恵と自由に根ざし、慈愛と愛の感覚を守るものです。この状態をドライな中立性や冷たくよそよそしい態度と捉える人もいるかもしれませんが、成熟した平静は存在の輝きとあたたかみを産み出します。ブッダは平静さに満ちた心のことを「敵意や憎悪のない、豊かで、高揚し、無限の」状態と説明しています。

英語の「equanimity(平静さ)」はブッダが用いたパーリ語の異なる2つの単語を訳したものです。それぞれ平静さの異なる要素を表します。
equanimityと訳される最も一般的なパーリ語はupekkha(ウペッカー、仏教用語では「捨」)で、意味は「見渡すこと」です。これは、平静さが観察力、自分の見ているものに囚われずに見ることのできる能力から生まれることを表しています。その力は、十分に発達したときに大いなる平穏をもたらします。

upekkhaは広い視点を持つことで生まれる平らかさも表しています。インドでは、口語表現において「忍耐力をもって見ること」という意味でこの言葉が使われます。私たちはこれを「ものごとの本質を理解しながら見ること」と理解してもよいでしょう。例えば、私たちが誰かの言葉を攻撃的なものとして曲解せず受けとめることを知っていたら、言われたことに過度に反応することが少なくなるでしょう。その代わりに、私たちは安心感と心の落ち着きを保つことができます。この平静な状態はしばしば祖母的な愛情と比較されます。祖母が孫を愛していることは明確ですが、彼女は自身の子どもとの経験に感謝の気持ちを抱き、孫の人生ドラマに親よりも囚われずにいることができます。

2番目によくequanimityと訳されるパーリ語はtatramajjhattata(仏教用語で「中捨」)で、これはいくつかのパーリ語の単語の組み合わせでできている言葉です。tatraは「そこ」という意味で、しばしば「すべてのものごと」を表します。majjhaは「中間」を表し、tataは「立つ、あるいは止まる」ことを表します。まとめると、「ものごとの中間に立つ」という意味の言葉になります。平静さのかたちとして、「中間にいる」ことは、平衡を保ち、何が起こってもものごとの中間に位置しつづけることを表します。この平衡感覚は内側の強さや安定感から来るものです。内面の穏やかさ、健やかさ、自信、生命力、あるいは全一なる感覚の強固な存在感は、強風の中でも船をまっすぐに保つバラストのように、私たちをまっすぐに保ってくれます。内面的な強さを育めば、平静さは後からついてくるのです。

平静さは「俗世の8つの風」、賞賛と非難、成功と失敗、喜びと苦痛、名声と悪評からの防護の役割を果たします。成功や賞賛、名声や喜びに執着したり、過度に高揚したりすることは、人生において方向転換の風が吹くときに悩みを呼び込む元となります。例えば成功は素晴らしいものですが、それが傲慢さにつながったとしたら、私たちは未来でのチャレンジで失敗する可能性が高くなるでしょう。

賞賛を得るのに没頭することは虚栄心につながる可能性があります。自分が何かにつけ失敗と感じていると、私たちは自分のことを無能で無力だと感じるようになるでしょう。また、苦痛に反応してばかりいると、私たちはどんどんやる気を失ってしまいます。もし私たちが、自分たちの内面の健やかさはこれらの8つの風から独立したものだと理解し、あるいは感じていたら、風の最中にいても自分の中心をより保っていられるでしょう。

平静さを養う一つの方法は、平静をサポートする心の質を育むことです。後述する7つの心の質が平静さを養うのに役に立ちます。

1つ目は美徳、あるいは全一なる感覚です。私たちが全一なる感覚とともに生き、ふるまうとき、私たちは自分の言動に確信を持つことができ、それは結果として批判のない平静さをもたらします。いにしえの仏教の経典は、いかなる集団の中にいても批判のない感覚を持つことができることを説いています。

平静さの2つ目のサポートとなるものは信念から来る確信の感覚です。いかなる種類の信念も平静さをもたらしますが、知恵に根ざした信念はとりわけパワフルなものです。パーリ語では信念のことをsaddha(仏教用語では「信」)と言い、やはり確信や自信と訳されます。私たちが確信を持っていたとしたら、例えばスピリチュアルな実践に関わる能力に確信を持っていたら、もっとチャレンジに平静さを持って臨むことができるでしょう。

後半に続く>

0 件のコメント:

コメントを投稿